更新日:2021.7.7 Update date
フランス料理は、中華料理やトルコ料理と並び世界三大料理と言われています。 フランス料理と聞くと「格式の高い高級料理」をイメージされる方が多いかと思いますがフランスで発祥したさまざまな食文化の総称のことで14世紀ではテーブルに並べられた料理を手づかみで食べていました。 明確な作法やマナーはなかったようです。 16世紀にイタリア料理の影響を受け、いわゆる「フランス料理」の原型ができあがっていきます。 全世界で愛されているフランス料理。その歴史や特徴、魅力について見ていきましょう。

フランス料理の歴史

l'histoire中世

中世のフランス料理は明確な作法はまだ存在せず食材を焼いて大皿に乗せ一斉にテーブルに並べられていたようです。 食べ方もカリカリのパンの上に料理を乗せ手づかみで食べていました。

l'histoire近世

16世紀から17世紀にかけてのフランス料理はイタリア料理の大きな影響を受けます。 イタリアからフランス国王に嫁いだメディチ家のカトリーヌが嫁ぐ際に一緒に連れてきたイタリア料理人たちによって高度な調理法や洗練されたマナーが伝えられ、ナイフとフォークを用いる食事作法が広がっていきます。 その後フランス料理の改革が独自で発展していき宮廷料理人たちがクオリティを高めていき、上品で繊細なフランス料理が確立していき一般に広がっていきます。

l'histoire近代

1皿ずつテーブルに運ぶフランス料理のスタイルは、19世紀ごろにロシアで確立されました。 寒い気候であるロシアで料理が冷めないように1皿ずつテーブルに運ぶようになったことがきっかけでそのスタイルがフランスに伝わりました。 日本には明治維新の際に伝わりました。 日本でフランス料理が一般に広まったのは昭和に入ってからです。 ホテルで食するのが一般的で格式の高い高級料理として広がりました。

l'histoire現代

現代でももちろん高級ホテルで正装して厳格なテーブルマナーが確立されているイメージがありますが、幅広い年代からのワイン人気もありフランス料理をより手軽にそしてリーズナブルな価格で楽しめるお店も増えています。 また料理内容の幅も広がり昔から親しまれているフランス料理の代表「エスカルゴ・ブルギニョオン、フォアグラ、ビスク、ポトフ、パテ、キッシュ、アリゴ、ラクレット、カスレ」から創作フレンチと呼ばれる料理までさまざまあります。

フランス料理でよく使用される食材

フランス料理でよく使用される食材
幅広い食材を使用するフランス料理ですが、主に魚介類、鴨や鳩、子羊、また日本人になじみのないウサギなども使用します。 調味料ではバターや生クリームなどを多用します。 よく「フレンチとイタリアンの違いは?」などと耳にすることがありますが、フレンチで多用するバナーや生クリームをイタリアンではフレンチほど多用しません。 イタリアンに欠かせないのはオリーブオイル。逆にフレンチでオリーブオイルがメインになることはないでしょう。 そのほかフランス料理で重要なのは、ソース。 小麦粉と牛乳がベースの白いベシャメルソース、牛肉や牛骨を煮込んだブイヨンベースのエスパニョールソース、鳥や魚などを煮込み牛骨を入れないで取ったブイヨンをベースにしたヴルーテソースなどがあります。

フランス料理とワイン

フランス料理とワイン
フランス料理を美味しく楽しむには、やはりワインは欠かせないのではないでしょうか。 ぶどう栽培に適しているフランスの気候でつくられるワインとして有名なドン・ペリニヨンで知られる上質な発泡性ワインの産地、シャンパーニュがあります。 また、ボルドーと並ぶ銘醸地帯として知られるブルゴーニュには、ロマネ・コンティ、赤のボージョレ、白のシャブリなどがあります。 近年では、自然派ワインなどもフランス料理と一緒に楽しむ方が増えてきています。

フランス料理のマナー

たくさんのマナーが存在するフランス料理。 特に高級なお店では、マナーを知らないと恥ずかしい思いをすることがあるかもしれません。 カジュアルなフランス料理も増えていますが、ここで一般的なフランス料理のマナーを見ていきましょう。

Manièresナイフ・フォーク

ナイフやフォークなどのカトラリーは外側から順に使う。
食事中の置き方は、お皿の上にナイフの刃を自分側(内側)に向け、フォークの背を上にして「ハの字」になるように置く。

Manièresナプキン

ナプキンを広げるタイミングは、ドリンクやお水を持ってきてくれたとき。 二つ折りにして、折り目を自分の方に向けてふとももの上に置く。
※口や手を拭くときは、ナプキンの内側の端で。
※自分のハンカチで口元や指の汚れは拭うのはNG。「お店で用意されているナプキンは汚くて使えない」というメッセージになってしまいます。
※食事中に席を立つときは、軽くたたんで背もたれまたは椅子の上に置く。
※食事後は、簡単にたたんでテーブルの上に。
ナプキンをきれいにたたむのは、「食事に満足しなかった」という合図になってしまうので、わざと角をずらすようにたたむなど、ざっくりたたむのが好ましいです。

Manièresドリンク

フランス料理のお店では、まず最初に食前酒を注文するのが一般的。 迷ったら、シャンパンを頼むのが無難。 その後は、食事に合うものを注文。
※前菜や魚料理には白ワイン、肉料理には赤ワインが相性がいいです。

Manièresサラダ

切らずにナイフとフォークを使って折りたたんで食べる。

Manièresスープ

スプーンを奥から手前にすくい、量が少なくなってきたらお皿の奥を浮かせる。
※イタリア料理ではスープは手前から奥。

Manières魚料理

骨付きの魚料理はまず、上身を一口ずつカットしながら食べる。 その後、フォークで身の左側を押さえて背骨に沿って身と骨を外して下身を食べる。
※ひっくり返して食べるのはマナー違反です。

Manières肉料理

斜めにナイフを入れて筋に沿うようにするとスムーズに切れる。
※最初に全部切り分けるのはマナー違反です。

Manièresコーヒー・紅茶

カップの取っ手は指で挟んで持つ。
※カップの取っ手の穴に指をいれないよう注意。
カップの底に左手を添えると、この飲み物は「ぬるい」という意思表示になるのでカップの底に左手を添えない。
ソーサーを持ち上げて飲まないのが基本。
※紅茶の場合は、テーブルが低ければ持っても大丈夫です。

Manières食べ終わった後

ナイフとフォークは、お皿の中央から右寄りに横又は斜めにそろえておく。
ちなみに、イタリア料理ではお皿の中央下側に、タテにして並べる。
フランス料理とイタリア料理ではマナーが異なる場合があります。

フランス料理のコース

コースで順に料理が出てくるフランス料理。 ゆったり食事を楽しむことができるのもフランス料理の特徴です。 コースとしては、

coursアペリティフ

フランス語で食前酒という意味。ラテン語の「aperire」開くという意味が語源です。料理を食べるために「胃を開く」という意味からきています。

coursアミューズ

単体で出される一口大のオードブルの一種(小前菜)です。食前酒のつまみや付出しとしてだされることもあります。

coursオードブル

フルコースでスープの前に出される最初の料理(前菜)を意味します。 食欲をそそることが目的で、量が少なく、塩分や酸味がやや強めのことが多いです。

coursポタージュ

スープです。

coursポワソン

魚料理のことです。

coursソルベ/グラニテ

魚料理と肉料理の間のお口直しとして出されるシャーベット状の氷菓です。

coursヴィヤンド

肉料理のことです。

coursフロマージュ

メイン料理の後、デザートの前に出てくるチーズです。 複数の種類の中からお好みのチーズ、サイズを選びます。

coursデセール

デザートと同じ意味を持つ食後のお菓子を指します。

coursカフェ

食後の飲み物(コーヒー)です。

などがあります。

フランス料理の楽しみ方

フランス料理の楽しみ方
今は、さまざまなフランス料理のお店があります。 格式高いお店もあれば、カジュアルなお店もあります。 その時々でフランス料理を楽しむことができます。

主な種類
・グランメゾン(高級フランス料理店)
・オーベルジュ(ホテルにあるフランス料理店)
・ビストロ(カジュアルなフランス料理店)
・ブラッセリー(さらにカジュアルな大衆居酒屋のようなお店)
・カフェ(軽食がとれる気軽なお店)

地方の代表的なフランス料理

地方によって代表的なフランス料理があります。 その土地の気候や環境によって生まれた料理を知るとその地方の特徴もわかりおもしろいですよね。

Ruralイルドフランス地方

代表料理:フザンダージュ
フランス語で食肉の熟成という意味のフザンダージュ。 特にジビエなどは取れたてを調理するよりも熟成させてから調理をすることで旨味や香りをより引き出すことができます。 ジビエ料理は野性味あふれる力強い風味が持ち味とされ、ファンの多い料理です。

Rural北東地方

代表料理:ブルギニョン
ワインを使った料理が特徴でワインで煮込まれた牛肉は食べ応えのある一品でマッシュポテトを添えていただきます。

Rural南東地方

代表料理:シャルキュトリー
シャルキュトリーは、フランス語で食肉加工食品全般を表す言葉です。 ハムやソーセージ、テリーヌやパテ・ド・カンパーニュ、コーンビーフは日本でも馴染みのあるシャルキュトリーです。

Rural南西地方

代表料理:フォアグラ
世界三大珍味として有名な食材。 ガチョウや鴨の肝臓を人工的に肥大させて作ります。 高級食材とされ、内蔵とは思えない臭みのない濃厚でクリーミーな味わいとなめらかな食感が美食家を中心に愛される料理の一つです。

Rural北西地方

代表料理:クレープ
パンケーキの一種で元になったのは、蕎麦粉で作った薄いパンケーキのガレットという料理です。 北西地方では、小麦粉や塩、バターやチーズなどの乳製品を用いた料理が発達しています。

季節の代表的なフランス料理

季節によっても楽しめるフランス料理が違います。 旬の食材を食べることは、エネルギーを補えるので是非、旬を食したいものです。 季節別に少し見ていきましょう。

Saison

春は緑鮮やかなアスパラガス、インゲン、そら豆などの野菜が美味しくなる季節です。 また肉がやわらかくなる子羊の料理が美味しくいただけます。 春らしく彩ゆたかなマリネ、子羊はハーブの香りとジューシーな肉の味わいを楽しむグリルが定番です。

Saison

ズッキーニやなすなど夏野菜が美味しい夏の時期は、たくさんの野菜を煮込んだラタトゥイユが代表的な料理です。 またマグロなどの魚をさわやかにカルパッチョでいただくのも夏におすすめの一品です。

Saison秋冬

やはり秋から冬の時期のフランス料理と言えばジビエでしょうか。 ジビエはフランス料理の代表的な料理の一つです。 ワインとも相性がよく是非この時期に食べたいフランス料理です。

定番のフランス料理といえば

近年では、独創的な創作フレンチなども流行しフランス料理が進化していますが、歴史あるフランス料理。 伝統的な定番のフランス料理は、長い歴史の中で愛されてきた料理です。 ここでは、代表的な定番のフランス料理をご紹介します。

Quicheキッシュ

キッシュ
キッシュはフランス・ロレーヌ地方の郷土料理です。 カリッとした食感と、クリーミーな味わいを楽しむことができる「卵、生クリーム、チーズ、ベーコン、ひき肉、アスパラガス」をタルト生地へ加え、オーブンで焼き上げた美味しいタルトです。

Cassouletカスレ

カスレ
カスレはフランス南西部の豆料理です。 白いんげん豆、豚肉のソーセージ、羊肉、がちょう肉、アヒル肉などをカソールとよばれる深い土鍋に入れ、長時間煮込んで作ります。カスレは、地方により様々なバリエーションがあります。

Racletteラクレット

ラクレット
ラクレットは牛乳から作られるチーズの一種です。 チーズの断面を直火で温めて、とけたところを、ナイフなどで削いで、食材にかけていただきます。 じゃがいもや、パンなどにチーズをかけていただくのが定番になっています。

Galetteガレット

ガレット
ガレットはフランス北西部のブルターニュ地方発祥のそば粉を使用してつくられるクレープのような料理になります。 チーズ、野菜、生ハム、たまごなどさまざまな具材をトッピングしていただきます。

Ratatouilleラタトゥイユ

ラタトゥイユ
ラタトゥイユは、フランスのニースの定番の家庭料理です。 たまねぎ、なす、ズッキーニ、ピーマンなどといった夏野菜をたっぷり使用し煮込んだ料理です。 ラタトゥイユは、そのままスープ感覚で食べたり、パンを浸したり、パスタに絡めても美味しいです。

Pateパテ

パテ
パテは肉や魚をミキサーなどで細かく刻み、ペースト状にして、ハーブや玉ねぎやお酒などと混ぜ合わせテリーヌという型に入れて、オーブンで焼き上げた加工肉料理です。 フランス料理では前菜メニューとしてお馴染みです。

Pot au feuポトフ

ポトフ
ポトフはソーセージやニンジン、タマネギ、セロリなどの野菜類をじっくりと煮込んだ家庭料理です。 食塩、香辛料(黒コショウ、ハーブ、クローブなど)で味付けをしマスタードを付けて食べます。

おうちフレンチでフランス料理を楽しむ

コロナ禍でなかなか外食も自由に行けない現状。 いまでは様々な「おうち●●」が流行っています。 その中で自宅でカジュアルにフランス料理を楽しむ「おうちフレンチ」を楽しむ方も多いようです。 ちょっとした工夫でいつもの食卓がワンランク上になりますので、前菜からメイン、デザートとコースで出しながら自宅でフレンチを楽しむのもいいですね。 アレンジ次第で意外と簡単にフランス料理を作ることができるレシピも多く出ていますので、フランス料理が好きだけど、なかなかこのご時世行くことが出来ていない方は是非ご自宅でフレンチを楽しんでみてください。

さまざまなシーンでフランス料理を楽しむ

フランス料理は、多くの歴史を経て今のフランス料理があります。 フランス料理といっても幅広くなってきた近年。 歴史あるマナーを重んじるフランス料理もあれば、カジュアルでリーズナブルなフランス料理もあります。 鉄板でいただく「鉄板フレンチ」という言葉も定着しつつあります。 気軽な食事から特別な日までその時々で美味しいワインとフランス料理を楽しむことができます。
さまざまなシーンでフランス料理を楽しむ
さまざまなシーンでフランス料理を楽しむ

店舗情報

東区東桜にある「ラトリエK」と東区泉にある「ラトリエ泉」の2店舗あります。 ラトリエKでは、ソムリエでもあるシェフが鉄板で調理するフレンチコースとお料理に合う自然派ワインをご提供します。 料理やワインのなるほどと思う話を分かりやすく詳しく話してくれる会話も楽しめるお店です。 ラトリエ泉では、鉄板フレンチを楽しめる鉄板コーナーとバーテンダーがいるワインバーとワンフロアに2つのスペースがあります。 お料理を楽しみたい方、お酒を楽しみたい方、もちろん両方楽しみたい方、シーンに合わせてご利用いただけます。

L'atelier K

L'atelierK(ラトリエK)
L'atelierK(ラトリエK)
愛知県名古屋市東区東桜2-12-22 水谷ビル2F
TEL.052-936-8555
営業時間:
18:00~24:00
※夜10時以降入店可
定休日:日、月、不定休あり

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〒461-0005
愛知県名古屋市東区東桜2-12-22
水谷ビル2F
【電車でお越しのご案内】
地下鉄桜通線「高岳」駅 徒歩5分

L'atelier izumi

L'atelier泉(ラトリエ泉)
L'atelier泉(ラトリエ泉)
愛知県名古屋市東区泉1-17-3 オレンジタウン2F
TEL.052-211-7323
営業時間:
【鉄板コーナー】18:00~24:00
【Barコーナー】18:00~25:00
【日曜日のみ】12:00~22:00(アラカルトonly)
定休日:水曜日

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〒461-0001
愛知県名古屋市東区泉1-17-3
オレンジタウン2F
【電車でお越しのご案内】
地下鉄桜通線「久屋大通」駅 徒歩5分


ラトリエ

記事編集者

ラトリエK / ラトリエ泉

ラトリエK、ラトリエ泉のオーナーにいろいろお話を伺い、食に関する話題を中心にコラムを書いています。 楽しい会話も食事の時間を豊かにする大切なアイテム。 美味しい食事やお酒と共に楽しい会話の話題作りになれば幸いです。

link ラトリエケー店主のプロフィール
link ラトリエ泉シェフ、ソムリエのプロフィール


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